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大河を見ながら

NHKの大河ドラマ「花燃ゆ」は、吉田松陰の妹・杉文の視点で明治維新前後の時代を描いたドラマですが、これを見ながら松下村塾に対して持っていたイメージが、だいぶ修正されました。

これってさ、結局〈テロリスト養成所〉じゃないの?

「八重の桜」では、藩主・松平容保の実直さゆえに、明治維新の動乱期に会津藩がババをつかまされるわけですが、ついついそちらに肩入れしがちな私には、長州藩がどうも好きになれませんわ。
山口県出身の安倍総理の肝入りでねじ込まれたと言う噂があるだけに「どうだ、長州藩すごいだろ」的なストーリーを想像していましたが、なかなかどうして。

何も背負う義務のない人が、自分の信念だけで暴走すると、大切な人の命やささやかな生活を守ることすら、踏みにじられても仕方のないものになってしまうのだな、と感じさせられます。
中でも「松陰の大義」に疑問を感じつつも言い出すことができず、悶々とした表情で血判状に名を連ねる吉田稔麿を登場させたことと、「ここはどういう場ですか?」と兄に詰め寄る文を、人としてよりまっとうな感覚の持ち主として描いたことは、ちょっと不思議な感じでしたね。

吉田松陰の思想がどのようなものであったかがいまいち良くわからなくて、いろいろと調べてみたりしているのですが、「天下は万民の天下にあらず天下は一人の天下なり」という言説、または尊王攘夷論を唱えて、天皇の許可を得ずに日米修好通商条約を結んだ井伊直弼の暗殺を企てたりしているところを見ると、この人にとっては日本の中心は天皇なんでしょうね。「天下は万民の天下にあらず」ーー天皇の前では、庶民は〈統治されるべき存在〉以外の何ものでもないのでしょうか。
そうした思想を持った人達が中心となって一つの時代を倒し、明治において国家神道の樹立の思想的基盤となっていくのだとしたら、あまり英雄視するのもどうかと思わざるを得ません。
(靖国問題については、今一冊の本を読み終えたところなので、その感想はまた後日)

民がなければ国は成り立ちませんが、民は国がなくとも生きていける。
大切なのは民だと私は思います。

井伊直弼という人物にも、逆の意味で興味が湧きました。

まあ、ドラマですから多分の脚色は織り込み済みで、今後はどのように展開して行くのかしばらく見守ってみたいと思います。

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9 Comments

ざしきわっぱ  

No title

私も幕末ものを読んでいると、松陰の過激な思想が元になって、日清日露戦争、さらには、太平洋戦争という暗黒の歴史に発展していくのでは考えます。靖国神社は残念ながら、「軍国神社」の匂いがいまだプンプンとします。もちろん慰霊の場であると、礼拝させていただいてはおります。天皇のパラオ訪問、素晴らしきことです。ありがとうございます。

2015/04/08 (Wed) 11:29 | EDIT | REPLY |   

ちぇしゃ猫  

No title

ざしきわっぱさん、初めまして。こんばんは。
ご訪問&コメントいただきありがとうございました。

学校で学ぶ日本史は、中・高ともに近・現代史は駆け足で、きちんと学んだ記憶がありません。年号の暗記ばかりで同時代の世界とのつながりも薄い内容で、ほとんど興味の持てない学科でした。

歴史が俄然面白くなったのは、大学のゼミで、近現代のジャーナリズム史を学んだ時でしたね。登場する人物ひとりひとりの息づかいまでが感じられるような気がした時、歴史が初めて、自分が今生きている時代と確実につながっている出来事なのだと実感出来ました。

大河ドラマは、まずざっと下調べをしながら見て行くようにしています。ひとりひとりのプロフィールや史実の流れを頭に入れておけば、実際の歴史と比較することも可能ですしね。

2015/04/09 (Thu) 01:38 | EDIT | REPLY |   

ちぇしゃ猫  

No title

(続きです)

歴史は勝者の記録、とはよく言われますが、確かにそんな一面も感じます。
「事実は一つだけだが、真実はその事実に接した人の数だけ存在する」というのが私の持論ですが、薩摩の篤姫、会津の新島八重、そして長州の杉文、(あ、土佐の坂本龍馬もありましたね)と、それぞれの違った視点から描かれた「明治維新」を追ってみるのも、そうした意味で有益かと思います。

実は私は、今、今上天皇が日本で一番まともな左翼ではないかと思っています。そして「天皇」という存在を政治的に利用しようとする動きには、徹底して戦うという毅然とした意志すら感じますよ。

実に興味深い方です。

2015/04/09 (Thu) 01:41 | EDIT | REPLY |   

はなせんめい  

No title

歴史物は、中心になった人物ばかりがクローズアップされますが、陰で働いた人物も大勢いたはずですね。
当時活躍したひとの陰には、すごいひともいたのではないか?と思ってみております。ドラマで初めて名前を聞いた、という人物を調べるのも楽しいです。
先日、北陸の地方紙のコラムに、「ある会社の宴会で、山口県出身と福島出身のひとが同席したとき、お互いの故郷の話で盛り上がって、宴会の終わり頃には、なぐりあいの大喧嘩になった」という・・・
このときから「長州出身者と会津出身者は、同席させてはいけない」という暗黙のルールができたらしい・・・ということが載っていました。
お互い歴史をいまだに引きずっているのね?と思わせるような記事でした・・・
「花燃ゆ」は、勢いのある青年たちが一生懸命生きていたんだな、と思って見ております。

2015/04/09 (Thu) 18:21 | EDIT | REPLY |   

ShiroTanino  

No title

>>そして「天皇」という存在を政治的に利用しようとする動きには、徹底して戦うという毅然とした意志すら感じますよ。

そうですね。2004年の園遊会での「ご発言」は、まことに印象的でした。

http://yosukenaito.blog40.fc2.com/blog-entry-524.html

こういう切手があります。岸内閣の時に、PTAの第七回全国大会が山口県の萩で
開催された折、世論の反応を他所眼に「松陰100年祭」と抱き合わせで発行された
記念切手です。

その思想の過激さを、これまで何が覆い隠して来たのか知りませんが、松陰は
ずっと「教育者」という位置づけでした。「テロリスト」という「見直し」が
当の山口県内(関係者)から出たのはつい先頃のことです。

2015/04/10 (Fri) 00:21 | EDIT | REPLY |   

ちぇしゃ猫  

No title

はなせんめいさん、こんばんは。
そうですね。
その中でも明治維新は、松下村塾の中でも久坂玄瑞、高杉晋作など主だった優秀な人達はみんな死んでしまって、残ったどうでもいい人達が要職に就いて行ったと聞いています。
大河ドラマは、よく「史実と違う」と言う人もいますが、そこはドラマですから脚色されていて当然ですよね~。
当時の時代背景や人物相関などを自分で調べながら、理解して行くのも、また楽しい作業だと思っています。

山口と福島のお話はとても象徴的ですね。それはもう会津藩がされたことを思えば、長州藩を許せないのは当然だと、関係のない私でも思いますし(笑)。

2015/04/10 (Fri) 23:10 | EDIT | REPLY |   

ちぇしゃ猫  

No title

しろうさん、お久しぶりです。
園遊会での「ご発言」。

米長邦雄名人が、園遊会で得意げに
「日本中の学校で、国旗を掲げ、国歌を斉唱させるということが、私の仕事でございます」
と述べたところ、これに対して天皇が即座に
「やはり、強制になるということでないことが望ましいですね」
と答えられたことですね。
自分の言葉がやんわりと否定されたにもかかわらず、米長名人は「素晴らしいお言葉、ありがとうございました」とぺこぺこと頭を下げていました。
当時、ブログにも書いたことがありました。
http://hello.ap.teacup.com/cheshire/122.html

最近のやたらと「国」を押しつけたがる風潮が目立つ中、それらに「待った」をかけるようなご発言が増えて来たように思います。

2015/04/10 (Fri) 23:25 | EDIT | REPLY |   

ちぇしゃ猫  

No title

(続きです)
この時に

「国政に関する機能を有しない」とされる天皇の立場だが、一個人としては当然思うこと、考えることもあるだろう。それを口に出来ないもどかしさや苦悩もあるのではないか。私は逆差別という理由から、天皇制はない方がいいと思っている。長い歴史の中で、権力者に散々利用されてきた「天皇」という存在に一番忸怩たる思いをしているのは、もしかしたら天皇自身に他ならないのかもしれない。

と書きましたが、それは今でも間違っていないと思っています。

2015/04/10 (Fri) 23:27 | EDIT | REPLY |   

ちぇしゃ猫  

No title

(続きです)
ご紹介いただいたサイトを興味深く拝見しました。
事を荒立てないよう、色々と根回しをしてくれる友人達の努力を全部ぶち壊して、結局松陰は処刑されてしまうわけですが、身内にこんな人がいたら家族はたまらないでしょうね(笑)。今でしたらネットで袋叩きにあうでしょうか。

思想の過激さを覆い隠してきたものとは、師を宣揚し続けた弟子の存在に他なりません。それも陰に陽に支え続けた松陰の家族があったればこそでしょうか。

2015/04/10 (Fri) 23:37 | EDIT | REPLY |   

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